相棒としてのAI【テクノロジー領域】
相棒としてのAI【テクノロジー領域】

相棒としてのAI【テクノロジー領域】

 1回目の投稿から時間が空いてしまいましたが、本投稿では昨今注目されているテクノロジーについて話していきたいと思います。

空想上の“相棒”

 人口知能を搭載した車「ナイトライダー」をご存じでしょうか?
80年代に米国で放送されていたTVドラマで、意志をもって話す車とドライバーが組織と戦ってミッションを成功させていくみたいな内容でしたが、私が子供の頃も再放送か何かで見た記憶があります。

 思い起こせば、我々世代の子供時代は90年代にあたり、ホビー製品の全盛だったと思います。ミニ四駆にポケモン、ガンダム、ビーダマン、ベイブレード、ゾイド、、、等々。ナイトライダーもしかりですが、意志を持っている若しくは意志を持っているかのような“相棒”と一緒に高みを目指したり能力を向上させていく光景にワクワクしたものです。

 

現実世界で実現している“相棒”

 昨今の人口知能(AI)の発達により、機械が情報を処理し判断する、いわゆる意志を持っているように感じられる場面は日常生活の中で増えてきているかと思います。
 そんな中、人口知能の可能性を広げている起業家を見つけたので、紹介したいと思います。

 情報元は、「Forbes JAPAN 2月号」より。テクノロジーからキャリア・教育まで幅広く最新の情報を発信しているコンテンツです。 参照:https://forbesjapan.com/category/lists/entertainment?internal=nav_cat_entertainment

 イスラエルの起業家、アムノン・シャシュアは、“AI”と”コンピューター・ビジョン”の技術を活用し、新たな価値を生み出している人物です。主なサービスは以下の通り。

AI車載カメラ「Mobileeye(モービルアイ)」
 車に後付けできる衝突防システム。
 前方車両や歩行者・車線等を検知し、衝突の危険が迫るとアイコン表示と警報音によりドライバーに警告し、交通事故を未然に防ぐことが可能となる。 参照:https://www.imobile.bz/

AIカメラ搭載型視覚支援デバイス 「Orcam MyEye(オーカム・マイアイ)」
 眼鏡に取り付けられるAIカメラが搭載されているデバイスで、人物の顔や文字、紙幣などを認識し、音声で読み上げてくれるシステム。全盲や弱視の方が利用することによって、これまで困難だった情報のインプットが可能となる。 参照:https://www.orcam.com/ja/myeye2/

AIカメラ搭載型視覚支援デバイス 「Orcam Hear(オーカム・ヒア)」 ※22年下期に発売予定
 Orcam MyEye同様、AIカメラが搭載されているデバイスで、人の口の動きを読み取り、声を聞き取りやすくするデバイス。補聴器を使っている聴覚障がい者は、大人数が集まっているような場では、雑音の中から話し相手の声を聴き分けるのが難しいが、このデバイスを利用することで、会話の補助が可能となる。
参照: Forbes JAPAN 2月号

 

いかにして“相棒”は生まれたか

 このような新たなシステムが生まれた概要を、以下に簡単な図で表してみました。イスラエルは長らく周辺国と緊張関係にあることは周知かと思いますが、戦局を優位にするための偵察用ドローンやサイバーセキュリティ、ミサイル迎撃システムの開発に注力したことで、AIやセンサー、コンピューター・ビジョン等の技術が発展していったようです。
 一方、「Think outside the box(枠の外で考えよ)」といった、柔軟な発想や失敗に寛容な文化が根付いていることから、兵役を終えた者の中から優秀な起業家が出てくるようです。そして、その起業家のアイディアと行動力が世界で注目されるテクノロジーを生み出している。 ※かなり簡単な説明なので、詳細が気になる方はForbes JAPAN 2月号をご覧ください。
 争うために使っていた技術が、社会や人々を支援する技術に、使われていると考えるといささか滑稽にも映りますが、技術をプラスのベクトルに向けるのは、そういった“人の発想や探求心”なんだろうと思います。
技術発展と応用の概要
※技術発展と応用のイメージ図

 

これから生み出される“相棒”

 この投稿がされている2022年3月6日現在は、ロシアとウクライナの悲惨な戦争の真っただ中に冬季パラリンピックが開催されているという、平和を脅かすものとそれを象徴するはずのものが入り乱れたカオスな状況です。そういったこともあり、国防から生み出された技術が人や社会に貢献するという、異質の経緯を持ったテクノロジーを紹介しました。
 書きながら思ったことですが、テクノロジーの使い方には2通りの考え方があると思います。

1つ目は、他よりも自分が優れ得をする為に、争って勝ち取ることに重きを置く考え方
2つ目は、可能性を追求することで、新しい体験を獲得することに重きを置く考え方

 戦争は1の考え方なんでしょうが、日常の中に1の考え方が反映されているケースってかなり多いと思います。企業が利益をあげるために、競合から勝ち取る商品販売戦略を立てるとか。勉強や部活の成績が何番だったから優秀だ、とか。
 冒頭で、空想上の“相棒”として「ナイトライダー」や子供の頃のホビー製品について触れましたが、争いに勝つことだけに魅せられていたとすれば、過去の過ちの幻影を見せられて、それが良いことだと刷り込まれていたにすぎないのかもしれません。
 だからと言って、この考え方を完全に否定するわけではないですし、資本主義の中で生きていく上では避けて通れない時が必ずあると思っていますが、これから新たな価値を生み出す主流の考え方は、2の方だと思います。
 アムノン・シャシュアには、目の不自由な叔母がおり、そういった人々の可能性を広げるにはどうすれば良いのか?、という問いがありました。また、Orcam Hear(オーカム・ヒア)の開発の際には、目の不自由な人の支援ができるのなら耳の不自由な人の支援はどうか?と、問いを広げていきました。まさに、可能性を追求した結果に見えてきた世界だと思います。
 子供の頃に感じたワクワクは、単に争いに勝つために感じたものではなく、新しい世界を感じられたから。それを”相棒”がいることで実現できたから、ではないかと思います。これからは、人それぞれの可能性を追求し新しい世界を体験するための”相棒”がどんどん生まれてきて欲しいと思います。皆さんはどのようにお考えでしょうか。

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