理想の学校【キャリア・教育領域】
理想の学校【キャリア・教育領域】

理想の学校【キャリア・教育領域】

 子供たちはなんのために学校で勉強や学習を行うのか。この問いに皆さんならなんと答えますか?
 そりゃ、いい高校に行けばいい大学に入れて、いい就職先に採用されたら安定した収入を得られて幸せに暮らせるからでしょ。いやいや、勉強ができなくてもどうにかすれば収入は得られるし、学校の勉強はあんまり意味ないよ。生きていく上で最低限の知識が身に付けばいいんじゃない?、、、、 等々、いろんな意見があるかと思います。

 

学習の位置づけ

 上記の例にあるように、実際に学校での学習によって得られるものがあることも事実でしょうし、欲しい結果に結びつかない場合があることもまた事実だろうと思います。
 ただし、結果は違えどこの2つに共通するものがあります。それは、“学習の位置づけ”です。両者ともに、学習は“自分の外側の何かを得るため手段”と捉えている点が共通しています。これは、モチベーションを高める方法の一つとしての、「外的動機付け」に当たります。

 一方、行動の動機を自分の内側に見出している状態を「内的動機付け」と呼びます。
 例えば、何か新しいことを発見することに楽しさを感じるとしたら、学習によって新しい知識を身につけることは、自分の内側に充実感を与えることができるでしょう。また、身につけた知識をもとに新たな問いを設定して、そこから新たな発見があれば、さらに充実感は高まるかもしれません。

学習の動機付けのあり方と自分の内外での関わりを図にしてみたので、下記リンクをご参照下さい。
学習の動機付けのあり方と自分の内外での関わり

 

新たな学校の形

 熊本県熊本市で “理想の学校”を目指し、2018年にWING SCHOOLを設立した、田上善浩氏を紹介したいと思います。情報元は、「月間先端教育 2月号」より。
 この学校では、先述した内的動機付けによって学習できるプログラムが設定されています。田上氏の言葉で言うと、子供たちの「幸せな未来を築く力」を育むことを目指し、それは、「感性」、「知性」、「創性」で成り立っている。具体例は以下の通りです。

《小学校低学年》
・川遊びや森の中を駆け回り自然と触れ合う学習(感性を育む学習)
・算数や国語等の教科学習(知性を育む学習)

《小学校高学年~中学生》
・プロジェクト型の学習(創性を育む学習)
例)ペットボトルでいかだを作り川下り
  道行く人に無料で自家焙煎のコーヒーをふるまう
  北海道から九州までを最長片道切符で旅行

 小学校低学年のうちに身につけた知性と感性を生かし、小学校高学年からは自身のやりたいと思ったことを創り出していくといった流れです。
 プロジェクトは、自身の興味関心に沿ってやりたい企画をプレゼンするそうで、他の子どもはその中からやりたいプロジェクトを選んで一緒に活動していく。一緒に活動している中でやりたいことが見つかれば、自身でプロジェクトを企画していく。そういった活動は、既存の学校ではなかなか体験できないことではないように思えます。

 

理想の学習、理想の学校

 田上氏の今後のビジョンとしては、小学校から大学までの学校法人を設立し、それをモデルケースとして、教育を丸ごと変えていくことだそうです。確かに、小学校~中学校でプロジェクトベースの学習を身につけたとしても、高校~大学で一般的な知識を記憶してテストでアウトプットする学習の形式に戻ってしまってはもったいない。
  自分の内側からやりたいと感じたことに従って主体的に行動していく態度を育むことが理想の学習であればそれを受けられる環境が社会に出るまで一貫して整備されていることが理想の学校の1つの形なのだろうと共感します。
 参考図に示したように、そういった態度の結果として、自身のやりたいことを自分の外側の世界で実現でき、かつそれが誰かの価値につながった時に、対価として収入を得られる。そういう順番で学習を位置づけられたら、楽しくはないですか?
 ただし、教育をまるごと変えるには時間を要するでしょうし、そういった教育を受けていない子どもは数多くいて、我々もその中の一人だったりします。理想の学習は、理想の学校以外では獲得できないのでしょうか。それを私自身の次の問いにしたいと思います。
 そこでキーワードとなるのは、「体験」「内的動機付け」になってくると思っていますが、またの機会に掘り下げて投稿できればと思います。

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